※※思いを込めて書いていたら長~くなってしまいました。
※※お時間のあるときにお付き合いください。
お店を始めたころ、お客さんや取材の方に
「何にこだわってますか?」
と質問されると、私は上手に応えられませんでした。
こだわってないからじゃないんです、決して。
「これとこれにこだわってます。」と言ってしまうと
そればかりが印象づけられる気がして嫌だったんです。
以前頂いた雑誌に蕎麦屋のご主人の記事があったのですが
それを読んだ時、、あ、私が言いたいのはこういうことかな、と思いました。
蕎麦屋のご主人は、ライターさんに
「うちはこだわりなんてないよ。当たり前のことしかしてないよ」と
しきりに言うそうです。
困ったライターさんが細かく質問していくとぽつりぽつりと素材や製法、
そばへの思いを語っていきます。
ライターさんは、「こだわってない」と言うのは彼の蕎麦職人人生の中で
何もかもにこだわっているのが「当たり前」になっているからだと気づいた。
と締めくくっていました。
シェフ尚弘も色んなところに本気で向き合って
パン作りもお店つくりもこだわりだらけなんです。
それは彼の中では「自分の店なら当たり前」と思っています。
そして自分はまだまだだから「ブーランジェリー」なんて名乗れない、と。
そんな彼を横で見ている私は上手に伝えられなくて口ごもってしまっていたのです。
「材料がいいから」や「発酵に時間をかけているから」だけではないんです。
「1つ1つの工程の積み重ねを丁寧に繰り返すことしかない。」
いつもシェフはそう言います。
材料選び、粉の管理、最後の掃除の1手間までがステップなんです。
自分の体調管理もステップです。
何かを抜かしても美味しいパンには仕上がらないのだと思います。
そして5年目を迎えているカトルフィーユですが、
シェフ尚弘は、まだまだ納得いく100%のパンは出来ていません。
5年目、10年目にはもっともっと変化していくと思います。
その変化がゆっくりでも「前進」であるように
日々「当たり前」を続けて行きたいのです。
なので「こだわりはなんですか?」って聞かれたら
精一杯答えさせていただきますが話が長くややこしくなる可能性が(笑)
4年目の出来事を振り返ると、、
良いニュースはナオキングの弟子入りでしょうか。
夫婦二人でアルバイトさんにお手伝いしてもらいながら
細々とお店を続けて行けたらと思っていたのですが、
面白い子が入ってくれてお店としての可能性も広がってきた予感がしています。
アルバイトさんにも週末には今年からケイ君がいるので
ナオキングとケイ君がお店に並んでいる風景は
札幌では珍しいメンズパン屋になっています。
ま、ほとんど店番はぱんだの担当ですが。
‥メンズパン屋と言えばタッキーの「真夜中のパン屋さん」というドラマが
NHKで放送開始されています。火曜夜10時です。
BSで放送されていたときに観ていたのですがパンが食べたくなる温かいドラマです。
悪いニュースは小麦粉、副材料(ドライフルーツ・クルミなど)、包装材料等の
お店として必要なもののほとんどが値上がりしたことです。
今のところ知恵を絞ってなんとかパンの値上げはしていませんが、
はっきり言って苦しいです。そろそろ限界は近いです。
そんな中で「値上げしなくて大丈夫なの?」とか
イベントの抽選会の景品を見て「そんな豪勢なことして大丈夫?
おたくに潰れられたらウチは困るんだから。」と常連さんにご心配いただけて
この4年でお客様とカトルフィーユとの距離がぐっと近くなってきた事を
実感しています。
お客様との距離が近い、というのはシェフと私がすごく大切にしていることで
パンを作るシェフの方も「あのお客さんに食べてもらう」という事が明確だと
作りがいも出てきますし、正直なパン作りができます。
お客様も私達が作っているなら、と信頼し、安心してパンを買っていただけていると
思います。
これからもブレないパン作り、お店つくりに精進して行きます。
お付き合いいただけると幸いです。
カトルフィーユ 長谷川 尚弘・ぱんだ
シェフの一言:僕も負けずに話は長くくどいです。
ぱんだの一言:5周年にはやはり着ぐるみか・・・。
ナオキングの一言:僕もクジ引きたかったなぁ。